京都議定書第1約束期間スタート-大幅削減への行動を“急げ!”

今年2008年から、2012年までの5年間の京都議定書の第1約束期間が始まりました。先進国はこの5年間で、定められた温室効果ガスの削減数値目標を達成しなければなりません。

今年2008年から、2012年までの5年間の京都議定書の第1約束期間が始まりました。先進国はこの5年間で、定められた温室効果ガスの削減数値目標を達成しなければなりません。

日本の目標は基準年比(1990年を基本)6%の削減ですが、2006年度の排出量は6.4%の増加と目標にほど遠い状況です。これは効果的な政策を先延ばししてきたからにほかなりませんが、現在政府が行っている政策見直しでも、経済界の抵抗を受け、大胆な政策導入が(もう「先」がないのに!)先延ばしされそうという情けない状況にあります。

しかし、なんとかこの現状を打破して、日本は、これからの5年間で自らの排出削減を必ず実現するという難題を克服して、先進国としての責任を果たさなければなりません。

また、昨年12月にインドネシアのバリで開催された気候変動交渉会議(COP13/CMP3)では、京都議定書第1約束期間に続く、2013年以降の次期枠組みについて、今度は、先進国・途上国ともに削減に取り組んでいく仕組み作りを2009年までに合意することを決めました。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書は、一番低い濃度(450ppm/CO2eq)で温室効果ガスの濃度を安定化させるためには(それでも2℃以上の気温上昇が起こり、甚大な被害が起こると予測されている!)今後10~15年の間に世界全体のCO2排出のピークを迎えて、その後半減よりもはるかに低いレベルに削減しなくてはならないとしています。

IPCCが言うように、途上国も含めて世界の排出量を削減しなければ危険な気候変動を防げないということは、2つの点で重要です。1つは「もう時間がない」ということ。そしてもう1つは、「国際協力が必要」ということです。IPCCシナリオでは当然のことながら、今年世界一の排出国となる中国も、本当は最初から先進国グループに入っていて全くおかしくない韓国も、相当量の排出削減が求められることになります。そのための行動は、2013年を待たずに進める必要があります。

1997年の京都議定書採択から10年が経過しました。この10年どんな変化が起こったでしょう? 私たちが求めていた持続的な社会構築はできたでしょうか? 答えはノーです。しかし、過去と同じ10年を繰り返しては、もうとり返しがつかない完全に手遅れの状況になっているでしょう。

これからの10年は絶対に失敗が許されない。先進国、途上国に関係なく、それぞれが大胆な削減をして、化石燃料に依存しない社会に大きく変えていくしか選択肢はないのです。私たちは、この深刻で難しい課題へ取り組むことがどれだけ大事かを改めて認識し、その取り組みの先陣を切っていくよう、さらに力を合わせていきましょう。

(平田仁子)