2050年温暖化ガス半減へG8が「強い意志」=環境相会合

2008年 05月 26日 14:38 JST

[神戸 26日 ロイター] 神戸市で開かれていたG8(主要国)環境相会合は最終日の26日、世界の温暖化ガス排出量を2050年までに半減することについて、「(G8の)多くの国が長期目標に関する共有ビジョンに合意することについて強い意志を表明した」とする議長総括を発表した。

同総括は、目標達成に向け「先進国が大幅な削減達成を主導しなければならない」と呼びかけた。総括文書は7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)に提出し、G8首脳に温暖化対策促進を促す。

議長を務めた鴨下一郎環境相や各国代表は26日午前、記者会見した。鴨下環境相は議長総括の取りまとめについて「洞爺湖サミットに向けて大きな弾みとなったと思っている」と述べた。

地球温暖化対策の国際的な取り組みでは、2009年末にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)において、現行の京都議定書の削減約束期間(2008年─12年)後に、どのような枠組み(ポスト京都)を作るかが最大の焦点。鴨下環境相は、「COP15に向けて環境問題の国際的な世論を加速していくことが重要で、その趣旨からも(会合は)役割を果たした」と語った。

昨年の独ハイリゲンダムサミットでは、EU(欧州連合)、日本、カナダが提唱した「2050年までに世界の温暖化ガスを半減させる」との提案を「真剣に検討する」ことで合意。この合意を洞爺湖サミットに向けいかに前進させるかが、神戸会合の焦点のひとつとなった。

しかし、排出削減に消極的な米国側がG8環境相会合について「交渉の場ではない」(環境保護庁幹部)と指摘するなど、「2050年に半減」で、G8各国が足並みをそろえたとは言い難く、長期目標に関する議長総括も、昨年のハイリゲンダム合意に比べ踏み込み不足な印象を残した。環境団体「2008年G8サミットNGOフォーラム」は、長期目標に関する記述について、「ハイリゲンダムサミットの塗り直し」と酷評した。

ポスト京都の枠組み作りでは、2020年ごろをターゲットとした中期の削減目標も焦点。ただ、今回の議長総括は中期目標について、「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の科学的知見を考慮して実効的な目標を設定する必要性が認識された」と短く記載さるに止まった。

EUは、域内の温暖化ガス排出量を2020年までに1990年比20%削減、国際合意の内容によっては削減率を30%に拡大することを提案している。この目標はIPCCが、地球の温度の上昇幅を工業化社会以前の2度以内に抑えるには、先進国は2020年に90年比べ25─40%削減する必要があると指摘したことを根拠としている。ドイツのマハニッヒ連邦環境事務次官は26日の、「これから20年間が大事だ。IPCCが定めた科学的な観点から明確な削減目標を定めるべき」と強調した。

ただ中期目標に関する日本側の立場について、鴨下環境相は「中期目標の数字はまさに国際交渉そのもの。このタイミングで数字を出すことが適切なのか、十分に考えて国としての方針を示すべき」と説明した。日本は、産業・部門別に排出削減可能量を積み上げる「セクター別アプローチ」を提唱。積み上げても不足する場合の対応については、「政策的な処置、革新的な技術、国民運動、ライフスタイルの変革などでギャップを埋める努力をする」(鴨下環境相)としている。

日本側は、同アプローチが国別削減目標に代わるものでないことを環境相会合で説明。削減手段としては有効であると各国への理解が広がったもようだ。