オフィスにCO2排出枠…温暖化対策法改正案
京都議定書の目標達成に向けて政府が今国会に提出を目指している地球温暖化対策推進法の改正案の内容が明らかになった。
二酸化炭素(CO2)排出量の多い全国のオフィスビルや百貨店を対象に初めて排出規制を設ける。
排出量が大幅に伸びている「業務部門」の対策を強化するのが狙いで、違反事業者には行政の勧告や事業者名の公表で臨むほか、罰金などの罰則についても検討している。
来年4月に施行したい考えだが、企業活動に影響を及ぼすとして、産業界の反発も予想される。
同法は現在、原油換算で年1500キロ・リットル以上の燃料を使用する大規模事業者などに対し、毎年の排出量を算定し、国に報告することを定めている。
今年度の対象事業所は1万5000程度と見込まれている。
改正案では、これらの大規模事業者のうち、排出量が急増しているオフィスビルや商業施設など「業務部門」に分類される事業所と、排水処理や廃棄物焼却施設などを、特に対策を強化しなければならない「特別特定排出者」に指定。床面積当たりの排出上限を定めるなど、業種ごとに排出できる量の指標を設ける。
正当な理由もなく指標を超えた事業所に対しては、国が排出抑制に必要な措置を勧告し、従わない場合は、その事実を公表する。
改正案ではまた、事業者が太陽光発電などの自然エネルギー促進のための費用を負担した場合、その負担分を自らの削減に組み入れる仕組みを設ける。中小企業の排出削減に協力した場合も、自らの排出削減量に算入できるようにする。
京都議定書で、日本は2008~12年度の平均で、温室効果ガスの排出量を1990年度比で6%削減しなくてはならないが、06年度(速報値)は6・4%上回っている。中でも「業務部門」は、41・7%増と突出している。工場などの「産業部門」、発電所などの「エネルギー転換部門」、自動車、船舶などの「運輸部門」などは、現段階では、改正法の排出規制対象には含まれていない。
大規模事業所を対象にした排出規制は、東京都でも検討を進めている。原油換算で年1500キロ・リットル以上のエネルギーを使っている企業を対象にCO2排出量の削減を義務付けるもので、都によると、対象はオフィスビルや百貨店、病院が計約1000か所、工場や発電所が計約300か所になる見込みという。
(2008年2月5日14時33分 読売新聞)