EU報告書「温暖化、安保上の脅威」・水や食料不足で紛争

EU報告書「温暖化、安保上の脅威」・水や食料不足で紛争(ニッケイNET)

【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)は地球温暖化が「安全保障上の深刻なリスクになる」とする報告書を作成した。水不足や農業生産の低下で紛争拡大や地域の不安定化が予想されるうえ、数百万人の「環境移民」が発生すると警告。温暖化対策を怠れば経済的なコストは世界全体の国内総生産(GDP)の20%に上るとした。安保面から温暖化の影響を分析するのは初めてで、13日からのEU首脳会議で採択される見通し。

報告書はEUのソラナ共通外交・安保上級代表が作成した。温暖化が「現在の緊張関係や不安定さを相乗的に悪化させる脅威になる」としたうえで、国連や主要8カ国(G8)会合で安保上のリスクを提唱する必要があると強調している。EUは7月の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)でも地球温暖化に伴う安保上の脅威拡大を国際社会に訴える方針だ。(11:05)