温暖化、開花早める 過去55年で盛岡
岩手日報
盛岡の桜(ソメイヨシノ)の開花が過去55年で約5日、ニホンタンポポも約4日早くなっていることが盛岡地方気象台のまとめで分かった。温暖化や都市化による気温上昇が要因とみられる。地球温暖化による自然界の変化が表れ始めている現象ともいえ、県地球温暖化防止活動推進センターなどは二酸化炭素(CO2)排出量削減のための呼び掛けを強化している。
同気象台は1953(昭和28)年から桜、タンポポなどの開花の観測を開始。年ごとにばらつきはあるが、2008年までを線形近似曲線で見ると、桜は観測開始当時から約5日も開花が早くなった。
桜の開花に関連する2―4月の気温が1度前後上昇していることが影響しているとみられる。08年の開花は4月12日と平年より11日も早く、観測開始以来2番目に早かった。
同様にニホンタンポポの傾向をみると、観測開始当時から約4日も開花が早まっている。同気象台の統計を基にした推計では、盛岡の年平均気温が過去100年間で1・49度上昇している。
同気象台の佐々木靖気象情報官は「85年以降に早咲きの傾向が強くなっている。気温上昇や、都市化が影響していると考えられる」と分析する。
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は昨年、21世紀末には20世紀末より2・4―6・4度気温が上昇すると予想する。
地球上で最も明確にCO2量の増加傾向をとらえる南極・昭和基地では、83年以降のCO2量が約40ppmも上昇するなど、温室効果ガスの増加は深刻だ。
桜の早咲きなど県内の実態も踏まえ、県地球温暖化防止活動推進センター(盛岡市)は警鐘を鳴らす運動を展開。冷暖房の温度設定や過剰包装の削減、環境に優しい自動車利用「エコドライブ」などを呼び掛ける。
同センタースタッフの斎藤恵美子さんは「冷暖房の設定やエコドライブのほか、地産地消もCO2削減につながる。生活をていねいに見直すことから始めてほしい」と強調する。
(2008/04/21)