問われる日本政府・地球温暖化
すみやかに行動が必要な地球温暖化について、日本政府や経済団体の態度は消極的すぎると内外の批判をあびている。2℃の気温上昇は、250kmもの南下を意味し、先進国の2013年以後の温室効果ガスの大幅総量削減は不可避となっている。炭素税導入の検討など、財界や政府の取り組みは他の先進国に遅れをとっており、今後も市民の監視がかかせない。
すみやかに行動が必要な地球温暖化について、日本政府や経済団体の態度は消極的すぎると内外の批判をあびている。2℃の気温上昇は、250kmもの南下を意味し、先進国の2013年以後の温室効果ガスの大幅総量削減は不可避となっている。炭素税導入の検討など、財界や政府の取り組みは他の先進国に遅れをとっており、今後も市民の監視がかかせない。
日本では、削減目標の具体的数値の明記が見送られたことばかりが大きく報じられた「バリ会議」(※)。NGOの目から見て、本当のところはどうだったのか。福田首相の、世界経済フォーラム・ダボス会議出席(1月26日)を前に、1月23日・東京では「NGO報告会 バリ会議(COP13/CMP3)の結果について ~G8洞爺湖サミットに向けた課題~」が行われた。福山哲郎・参院議員(民主党)の来賓あいさつのあと、市民団体の5名が報告を行い、活発な質疑応答がなされた。(※ 気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)/京都議定書第3回締約国会合(CMP3))
バリ会議で日本政府は、削減数値目標に対して反対、米国、カナダとともに交渉を妨害している国として批判をあびた。米・ブッシュ政権を参加させようとする、といえば聞こえは良いが、日本のNGOや世界各国にしてみれば、「日本は米国に便乗した消極姿勢」と見えたようだ。
「G8に向けて意味すること」を述べた鮎川ゆりかさん(WWFジャパン)
COP13の決定文書「バリ行動計画」では、具体的な数値の明記は見送られたものの、あらたに設置される特別作業部会が温室効果ガスの大幅削減法や数値目標などを検討することとなった。特別作業部会は、条約について、京都議定書について、それぞれ設置された。今後、IPCC第4次報告の知見に対応しながら、世界全体での大幅削減が必要であることを前提に、その具体策・目標数値を検討することになっている。議定書の特別作業部会設置についての合意では「2020年に、1990年比25~40%の削減が必要」などと数値も明記した。バリ会議ではこの他、森林の減少や劣化への対策を新たな排出削減策として位置づけ、途上国の取り組みに重要な技術移転策などについて検討を始めることなどを定めた。
温室効果ガスの削減は、大幅な総量削減が必要不可欠との認識が、世界的に大きな潮流となっている。米国に、ブッシュ政権以後の政策転換が期待される中、日本の経済産業省や経済団体などは削減数値目標に難色を示し、セクターごとに削減可能量を定めて積み上げる「ボトムアップ方式」にこだわっている。4℃もの温暖化を容認するような態度は、バリ会議のみならず、1月23日の報告会でも批判が相次いだ。
「世界はバリからダボス、G8、そして2008年合意へ」を語った浅岡美恵さん(気候ネットワーク)
(荒木祥)