鳥類の30%絶滅か 温暖化の脅威 今世紀末には (東京新聞)
2008年2月18日 夕刊
地球温暖化や開発による生息地の破壊で、今世紀末には地上にすむ鳥の30%が絶滅する可能性が高いとの解析結果を、米スタンフォード大とデューク大の研究チームがまとめた。
温暖化が鳥類の生息に及ぼす影響に関する初の詳細なコンピューターシミュレーション。気温が高いほど、同じ一度の上昇でも絶滅する種の数が多くなることも判明。
グループは「鳥類の絶滅は連鎖的に大きな生態系の変化をもたらす。温室効果ガスの排出削減を進め、温度上昇をできる限り低く抑える努力が必要だ」と指摘した。
絶滅種には、日本のライチョウなど高山帯に生息する鳥や、熱帯周辺にすみ大きなくちばしが特徴のオオハシ、ハチドリの仲間といった観光客らに人気の鳥も含まれているという。
グループは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の温暖化予測や、開発など人間活動による生態系の変化に関する国連研究チームの予測など、さまざまなシナリオに基づき今世紀末までの環境変化を予測。約八千四百種の鳥の生息可能条件と突き合わせ、生息地がなくなって鳥が絶滅する可能性を推定した。
今世紀末に気温が六・四度上昇、開発も大規模に進む最悪のシナリオの場合、約30%に当たる二千四百九十八種が絶滅、二千六百五十種に新たに絶滅の危機が生じるとの結果が出た。
グループのケーガン・シケルシオグル博士は「生息地破壊が深刻だと、温度上昇が二・八度でも、四百-五百五十種の鳥が絶滅することになるなど、温暖化の影響は大きい」と話している。
<温暖化と生物絶滅> 地球温暖化が進むと、生息環境の変動に適応して、生物の分布域も変化する。だが、温度上昇の速度が生物の適応能力を超えていたり、新たな生息地が得られなかったりすると、生物の絶滅の可能性が高まるとされる。温暖化による生物絶滅の危険性は、高山帯や極域の動植物で高い。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、20世紀末以降の温度上昇が2度を上回ると地球上の30%の生物で絶滅の危険性が高まると予測している。